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2018-11-07

バリに生きる女性たち:Naomi Saelens(ナオミ・セレンス)さん

海外でで出会ったさまざまな女性の生き方をご紹介するインタビューシリーズ、今回はバリ島3人目となる”バリに生きる女性たち”の新たなインタビューです!

Naomi Saelens​(ナオミ・セレンス​)さん 40歳 
オランダ・アムステルダム出身・バリ在住 
■職業・肩書き:ライフコーチ ■これまで住んだことのある国(都市):オランダ、イギリス、ベルギー、台湾、日本、インドネシア ■話す言語:英語・オランダ語・日本語・ドイツ語(日常会話)・フランス語(日常会話) ■家族構成:独身(オランダにいた頃からおつきあいしているパートナーと二人暮らし)


今回お話を伺ったのは、オランダ人で現在はバリ島をベースにライフコーチとして活躍されているNaomi Saelensさん。日本人の母と、ベルギー人の父の元に生まれ、生まれ育ったのはオランダ。幼い頃にはそうした自分のバックグラウンドから自分が人と”違う”ということを意識せざるを得ず、周りにあわせようとするあまり自分を見失ってしまった過去があったと言います。

バリでのライフスタイル

Mana:今日はインタビューの機会をいただきまして、ありがとうございます。まずは現在のお仕事のこと、そしてバリでの生活のことについてお聞かせいただけますか。

Naomi:はい、バリでの生活は約3年ほどになります。バリの前に住んでいたアムステルダムにいたときにしていた仕事を辞めて、新たな仕事をアムステルダムで探すか、これを機に引っ越すかということをパートナーと相談して、結果としてパートナーとバリに引っ越すことを決めました。現在のライフコーチとしての仕事は、アムステルダムにいたときに資格をとって少し取り組んではいましたが、本格的に取り組む覚悟を決めたのは、バリに引っ越すことが決まってからです。

Mana:現在のバリでのワーク・ライフスタイルについてお聞かせいただけますか。

Naomi:コーチングの仕事でのクライアントは世界中にいるので、基本的には家からオンラインでセッションを行うことがほとんどです。それ以外には、バリのチャングーにあるヨガスタジオ The Practiceでのコーチングセッションも行なっています。スケジュールは正直クライアント次第なので、毎週、そして毎日決まったスケジュールでは動いていません。でも週末、特に日曜日は完全にオフにしてパートナーと一緒に過ごす時間と決めています。コーチングの仕事をするにあたっては、関連する様々な情報を日々インプットしておくこともとても大事なので、本を読んだり、インターネットのリソースで情報を得ることにも多くの時間を使っています。それから、私自身にもコーチがいるので、その人との定期的なセッションの時間も欠かせません。

Mana:パートナーが一緒だったとはいえ、いきなりバリに引っ越すというのは勇気のいる選択だったのではないかと思います。

Naomi:確かにそうですね。でもいつかやろう、いつかやろうとずっと言っていたのにずっとできていなかったので、仕事を辞めたタイミングで行動に移すことに決めました。パートナーもそうした価値観を共有できる人であったこと、また彼はウェブデザイナーなのでインターネットの環境があればどこでも仕事ができます。そういうパートナーが身近にいたことはとても心強く、ラッキーだったなと思います。

Mana:パートナーのお話しが出てきたこととあわせてですが、現在の彼と出会ったきっかけや現在のお二人でのライフスタイルについても少しお話を伺ってもよろしいでしょうか。

Naomi:もちろんです。彼とはアムステルダムにいた頃に、共通の友人の紹介で知り合いました。知り合ってからはもう7年以上経ちます。お伝えした通り、バリに引っ越してきたこと、またそれをきっかけにコーチングを仕事にするようになったのは、彼もそういう価値観をシェアできる人だったということが大きいので、そんな彼に出会えたことはとてもラッキーだったと思います。

Mana:彼との関係をよく保つために気をつけていることなどはありますか。

Naomi:そうですね、コミュニケーションをよくとる、ということでしょうか。お互い仕事もしているし、平日はそれぞれ仕事やプライベートで別々の時間を過ごしていることが多いです。でも日曜日は一緒に過ごす日と決めていて、週末で旅行にいったりすることもあります。一方で、彼自身、とても自由な生き方が好きな人なので、彼のことについて干渉しすぎない、ということも大事なことかなと思っています。まだ付き合いが浅かったころは、彼のことをコントロールしようとしすぎてうまくいかなかったこともありました(笑)彼との付き合いを重ねていくうちに、そういうさじ加減もつかめてきた気がします。

Mana:現在彼とはご結婚はされていないということなのですが、そういうことを考えられたことはありますか。

Naomi:オランダではカップルでも”結婚”という形式を取る人は多くなく、”事実婚”というスタイルの方が一般的な気がします。そういうこともあってか、私たちもそんなにつよく”結婚”ということにこだわりはないですね、正直なところ。

世界平和に関わる仕事を志した過去、コーチングにいきついたきっかけ

Mana:バリに引っ越される前、またコーチングをお仕事にされる前は、どこでどのようなお仕事をされていたのでしょうか。

Naomi:バリに引っ越す前はオランダのアムステルダムに住んでいました。これまでイギリスやベルギー、そして日本などにも住んだことはありますが、アムステルダムは自分の故郷だと感じる場所のひとつです。もともと”世界の平和”に関わる仕事がしたいと思い、大学時代は日本と政治のこと、また大学院では欧州とその政治について学びました。当時は国連で働いてみたいとも思っていました。結果的に、様々な経緯があってアムステルダムに拠点のあるNGOで働くことになり、国際的な大きな組織の中で仕事をしていました。そこで担当していたのは、主にそのNGOのための資金集めをするファンドレイジングの仕事でした。

Mana:NGOのような国際機関でのお仕事はとてもやりがいがありそうですが、そこからコーチングの仕事にシフトしたいと考え始めたきっかけは何かあったのでしょうか。

Naomi:NGOでの仕事はファンドレイジングの担当だったので、政府や様々な民間の大きな組織から資金を集めてくることが仕事でした。大きなお金を動かすプロジェクト多数関われた一方で、私自身は日々NGOのオフィスに出社してオフィスで仕事をしている。末端で助けを必要としている人からとても距離が遠いように感じるようになりました。コーチングの仕事をフリーランスですることを決めたのはバリに引っ越すことを決めたことがきっかけでしたが、自分の中で、もっと”実感のある仕事”をしたいと感じていたのだと思います。

自分を見失ってしまっていた過去

Mana: いまはクライアントを助け、サポートする立場にあるNaomiさんですが、以前は自分を見失ってしまった、自分に自信が持てなかった時期があったと伺いました。その頃のことについてお聞かせいただけますか。

Naomi:本当に小さい頃はよかったのですが、ティーンエイジャーになってきたころ『自分が周りと違う』ということを意識しはじめ、また時に疎外感を感じるようになっていきました。日本人の母と、ベルギー人の父の元に生まれ、当時住んでいたオランダの田舎町では、私の見た目は"外国人"。どこにいっても自分が周りと”違う”ことだけが注目されて、どこにも所属できないような気持ちでした。家族も、母方の家族はみんな日本人、そして父方の家族はみんなベルギー人。家族の中ですら、自分だけが異質な存在で、居場所がないような。そんな中でも、本能的にはどこかに所属・帰属していたいし、人から好かれたい。周りと”違う”自分を、極力周りと合わせることでそうした気持ちを埋めようとする中で、いつのまにか”自分”って何かがわからなくなっていきました。

Mana:そんな状態から、どうやって自分自身を見つけ、受け入れ、認めていくことができるようになったのでしょうか。

Naomi:”自分を認められる”という状態になるまで、確かにすごく時間もかかりましたし、自分自身もいろんなことを試してみました。セラピストに診てもらったこともあります。大人になるに連れて、ティーンエイジャーだった頃にネガティブな要素だと思っていた自分自身のインターナショナルなバックグラウンドが、逆に活かすことができること、またポジティブな要素になり得るということもわかってきました。そんな中で、自分の感情にオープンに、何が好きなのか、少しずつ表現していくようになりました。そのプロセスの中で出会った様々な方に自分を受け入れてもらったことって、自分で自分自身をだんだんと受け入れられる、認められる自分になっていった気がします。

自分に自信を持つヒント

Mana:自分に自信がもてなかった、受け入れられなかった過去、そしてそれを乗り越えてライフコーチとして活躍されるNaomiさんが考える、自分に自信を持てるようになるためのアドバイスは何かありますか。

Naomi:自分に自信が持てるようになるためにはいくつかのステップがあるかなと考えています。まず最初に必要になるのは、何かしら『アクションをとる』ということ。どんな小さなステップでも良いので、自分自身が好きなことや、やってみたいと思うことや方向に対してアクションをとること。そうすることで、その経験からフィードバックを得ることができて、次の道筋やヒントが見つかります。また、心の持ち方として大事ななと感じるのは『”自分自身を疑ってしまう”または”自分に自信がない”と感じてしまうことは、ごく普通なことだ』と思っておくことだと思います。だれでも新たなチャレンジをするときには怖いものだし、人間は本能的にも新たな環境では恐れを感じるようにできています。そのことを頭の片隅においておいて、恐れている自分に対してダメ出しをしないこと、は大事だと思います。人は誰でも完璧ではない。一方で、人は無限の可能性を持っている。これは私がコーチングをしていて大事にしているスタンスでもあります。

現在のお仕事でのやりがい、これからのやりたいこと

Mana:今ライフコーチとしてお仕事をされていて、一番エキサイティングな瞬間ややりがいを感じる瞬間ってどんなときでしょうか。

Naomi:やっぱり一番は、クライアントに変化があったときだと思います。変化はすごく小さなものの場合もあります。でもその小さな変化が、クライアントのこれまで見ていた世界、世界の見え方をまるっきり変えてしまうようなことがある。それによって、彼、彼女の表情や態度、そして生き方が変わっていくのを身近で見ることができるのはとてもやりがいを感じる瞬間です。

Mana:これから、目先でも、中長期でもやっていきたいと思われていることはありますか。

Naomi:今年は、現在の仕事の土台をより固めていくということに注力しています。現在の、パソコンとインターネットさえあれば、どこでも仕事ができて、世界各地にいるクライアントとお仕事ができるという仕事のスタイルはとても気に入っているので、この基盤をより尽くしていきたいと考えています。それから、実際に人が集まる場でのワークショップについては、現在バリで仕事をもらっているヨガスタジオで開催していますが、それをより他の国でもやっていきたいなということも考えています。これまで、オランダ、イギリス、ベルギー、台湾、日本、インドネシアに住んできましたが、旅行で訪れたケープタウンや、メルボルン、サンフランシスコも大好きな街です。近い将来は、バリ、アムステルダムと、その大好きな街を行き来するような生活にしていけたら最高ですね。

いかがでしたでしょうか。

ナオミさんとは、何度もバリ島を訪れている中で、以前こちらにインタビュー記事も掲載させていただいたEmilyさんのご紹介で出会いました。ナオミさんの生き方やお仕事の仕方、そしてパートナーとの関係性といった様々な面で、私自身にとっても新たなインスピレーションをいただく機会になりました。

バリで出会う人たちは、他のどの国とも違う、自由な発想やマインドで生きている人たちが多く、毎回いろんな方に出会うたびに感化されます。リゾート地として有名なバリですが、最近ではコワーキング・コリビングスペースも多数あり、自分の好きなライフスタイルを大事にしながら、旅するように暮らしているグローバルノマドな人たちが世界から集まっている場所でもあります。機会があったら、そんな”いろんな生き方”との出会いを求めて、バリ島を訪れてみることもおすすめです。

インタビュアー・文責:小川麻奈(Girls Bee代表)

 

Girls Bee Onlineでは、国籍や民族、育った環境など日本人とは異なるバックグラウンドを持った女性たちが、どんなことを考えて、どんな生き方を選んでいるのか、インタビューを通してお伝えしていきます。これを読んでくださっているたくさんの可能性をもった日本の女性のみなさんに、何か感じてもらい、それぞれの人生に取り入れられるよい部分を見つけてもらえたら、とても嬉しく思います。ご意見・ご感想等ありましたら、ぜひコメント欄もしくはメールでお知らせください。またGirls Bee Onlineではオンライン記事の寄稿等ビジネスコラボレーションも受け付けています。ご連絡は下記emailまで。(Contact: girlsbee2010@gmail.com)

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